2010年10月6日水曜日

「ガラパゴス化」という言葉

最近、とりわけ携帯電話の分野において頻繁に聞くようになった「ガラパゴス化」という言葉。今年になって、この言葉を聞く頻度がぐんと上がったと感じる。最近では国内の多機能な携帯電話に対して、スマートフォンとは対をなす概念で「ガラケー」(ガラパゴスケータイの略) という略語まで使われ始めている。
このような言葉って、必ず誰か最初に発言した人や最初にこの言葉を定義した書物が存在するはずだと思い、調べてみた。

その前に、「ガラパゴス化」という言葉の意味と由来について説明する。
「ガラパゴス諸島の生物が島という閉じた環境で独自の進化を遂げたように、サービスや規格が (日本) 国内で独自に発展すること (また、世界の標準規格から外れて孤立すること)」である。取り分けて携帯電話において頻繁に使われる言葉である。

この言葉の出典を調べるために、Google, Amazon, Wikipedia や ITmedia, Impress Watch といったニュースサイトを検索した。
これらの検索結果 (で上位で且つ有用そうな情報) の一部は下の「関連サイト」の項目に載せておく。

まず、本としての情報だが、『ガラパゴス化する日本』(吉川尚宏 著, 2010.2) という本が「ガラパゴス化」という現象についての説明が詳しいようだ。著者は野村総研の人。Wikipedia の該当記事に於いても、この著書を出典としての説明が詳しくなされている (2010.10 現在)。
Amazon.co.jp にて「ガラパゴス化」というキーワードで本を検索してみると、2008年頃から登場し始めたようだ。本のタイトルに「ガラパゴス化」を含む最古の著書は『ガラパゴス化する日本の製造業』(宮崎智彦 著, 2008.9)。ちなみに英語版 Amazon.com にて「Galapagos Syndrome」を検索したがそのような著書は見つからなかった。

Web

次に、Web 上での情報。本来この言葉はこちらの世界で生まれたものと考える方が自然であろう。
今でこそ携帯電話などの日本の産業について用いられる言葉だが、下の「関連サイト」記事内の情報によると、OSS (オープンソースソフトウェア) の分野において比喩として用いられた物が古い。その該当記事と思わしきものを ITmedia にて見つけた。
現在の用法により近く、モバイルの分野にてこの比喩を用いている記事は以下のものが最古のようだ (少なくとも私が知る限り)。
こんなにも前から使われていたようだ。だが、この言葉が「ガラパゴス“化”」という形で用いられるようになったのはもう少し後になってからだった。
これが記事としては最古であろうか。「ガラパゴス化」という言葉を広めたのはどうやら野村総研の人だとみなすことができそうだ (前述の本を書いている人でもある)。早くからガラパゴス化と言う言葉で説明しているのも野村総研のサイトである。詳しい説明が書かれている。
上のサイトによると「日本市場で独自の進化を~ガラパゴス化と言われています」とあり、一般的に使われている言葉と言うニュアンスを感じるのだが、野村総研の外で「ガラパゴス化」という言葉を用いた例は見つけることができなかった (見つけた人がいたら教えて下さい)。
ただ、下の関連サイトのブログによると、ブログのコメントにて「ガラパゴス化」という言葉で呼んでいるという人が2006年の時点でいたようだ。「ガラパゴス化」の類義語として「パラダイス鎖国」という言葉もあるようだ。

ちなみに、私が「ガラパゴス」という言葉を最初に見てきた記事。

海外にて

Wikipedia 日本語版によると、イギリスの新聞が北米の自動車市場について Galapagos Syndrome と述べた記事があるようだ。2008年3月の記事らしい。どのような内容なのかは見ていないから分からない。
また、Google にて「Galapagos Syndrome」を検索してみると確かにヒットするが日本について書かれたものばかりヒットするし、英語版 Wikipedia の該当記事も日本における現象について書かれている。Jalapagos (Japan + Galapagos) という表現まであるようだ。

その他

Impress Watch 内の記事を「ガラパゴス」で検索し、日付順に並べると2006~2008年を境に綺麗に意味が違ってくるから見ていて面白い (90年代の記事もあったが、比喩ではなくガラパゴス諸島そのものを指している)。

「ガラパゴス化」の類義語として「パラダイス鎖国」という言葉もあるようだ。逆に、海外から入ってきた製品などで日本のガラパゴス化を覆すようなものを「黒船」と比喩した記事も見たことがある。
「黒船」の由来は言わずもがな。そういえば、中学校の社会科の資料集に載っている「ペルリ像」と書かれた当時の日本人が描いたペリーの似顔絵の髪が短い方が、ペリーには似てないのだが当時私が所属していた陸上部の顧問の先生には良く似ていたことを思い出してしまった w

最後に

この記事にて挙げたものとは全く異なる情報などがあれば、ご報告くれれば嬉しいかもしれない。検索に用いた Google だって万能ではないだろうし、古いページを検索するのって容易じゃないよね。
この記事は、私一個人が Web 上での情報を中心に調査した結果であるから、間違った情報が含まれている可能性のあることをご了承して頂きたい。

関連サイト

以下、上の文章にてリンクしたサイト、再掲。

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